藤沢先生の白いキャンバス。(修正済み)
ど、どうしよう……。
無断で部屋に入った上に盗み読みしたのが
バレてしまった。
「お、お帰りなさい。すみません。
洗濯物を置きに来たら……その……見つけて」
慌ててスケッチブックを置いた。
するとハァッ……とため息を吐かれる。
もしかして呆れてしまったのだろうか?
「す、すみません……」
「それは、趣味で描いているものだ。
ただの落書きだから気にするな。
その内に捨てるから」
「落書きだなんて……こんなに
素晴らしい作品なのに勿体ない」
こんな素敵な絵を捨てるなんて……何で?
「これぐらいの作品なんて
誰にでも描ける。もっといい作品を見たいのなら
美術館や展示会にでも行け」
切なそうに言うとスケッチブックを
取ろうとした。
ダメ……これがいい。
私は、慌ててスケッチブックを取ると
ギュッと抱き締めた。
「ダメ!!これがいいんです。
捨てるなら、私に下さい」
必死にそう告げた。
捨てるぐらいなら欲しい。
私は、この絵がいいのだ……。