藤沢先生の白いキャンバス。(修正済み)
そんな……。
確かに。腕のいい藤沢先生が医者の道を選び
跡を継いでもらえた方が病院も安泰だ。
皆それを望んでいる……。
でも、こんな素敵な絵を
もう描かないなんて勿体ない。
どうしたら描いてくれるのだろうか?
私は、もっと描いてほしいと思った。
「おい。いつまで居る気だ?
洗濯物を置いたら早く部屋から出ていけ」
「あ、すみません」
私は、慌てて部屋から出て行く。
怒らしてしまった……。
私が無断で部屋に入り触ってほしくない
スケッチブックを触ったからだろうか?
せっかく……違う藤沢先生の姿を
見ることが出来たのに。
閉められたドアを見ながら切ない気持ちになった。
翌朝。
私は、早起きをして朝食とお弁当を作る。
夕食は、普通に食べてくれたけど無言のまま。
ろくな会話が出来なかったから
だから、せめて
お弁当を作って食べて欲しかった。
あ、そうだ!
藤沢先生のお弁当袋にメッセージを書いて
入れておいた。
『昨日は、すみませんでした。
お仕事頑張って下さい』
読んでくれるといいけど……。