藤沢先生の白いキャンバス。(修正済み)
「大丈夫、大丈夫。
あの先生は、普段からあんな感じだし」
由恵とアハハッと笑った。
由恵……何気に失礼よ?
でも、確かに藤沢先生は、普段から
無愛想で機嫌が悪く見える。
笑うと素敵なのに……。
先生……分かってくれるといいのだけど
私は、しゅんと落ち込みながらお弁当を食べた。
午後からも相変わらず
バタバタと忙しくて余計なことを考えている
暇がなかった。
ヘトヘトになりながら自宅に着くと
洗濯物を取り込んだ。
たたまないと……あ、でも
お母さんの帰りが遅いから夕食の準備をしないと
そう思うのだが疲れて眠くなってきた。
少しだけ……ソファーで横になろうかな。
15分だけなら……。
ウトウトと目が閉じていく。
どれぐらい経ったのか分からない。
私は、物音で目が覚めた。
何処からか聞こえてくる……鉛筆を走らせる音が。
シャー、シャーとリズム良く走らせる音は、
何だか心地がいい。
うっすらと目を開けて見てみると
藤沢先生が、スケッチブックを片手に
私の方を見て絵を描いていた。
えっ……?
「ふ、藤沢先生!?」
思わず苗字で呼んでしまった。
家の時は、お義兄さんと呼ぼうと思ったのに。