藤沢先生の白いキャンバス。(修正済み)

あの告白は、本気かしら?

いや、いくら何でもモテる佐伯先生に
好きになってもらえる要素なんてない。

それこそ
月とすっぽんのように無理がある。

やっぱり。面白がって
からかわれただけだろう……。

私は、そう思うことにした。

しかし午後からの患者を送り迎えしていたら
他の棟の看護師からの目線が痛かった。

パッと見ると目線を逸らされたけど……。

きっと、食堂のことが噂になって
広まったのだろう。

もうこんなに広まるなんて……どうしよう。

こんな噂を藤沢先生の耳に入ったら
変な誤解をされてしまう。

私は、思い悩んでいた。

ため息を吐きながら病棟に戻ると大竹さんに

「ちょっと、百花ちゃん。
聞いたわよ~佐伯先生に告白されて
付き合うことになったんですってね?」

ニヤニヤしながらそう言われた。

えぇっ~!!?

いつの間にか佐伯先生の告白から
私がその告白を承諾したことに
なってしまっていた。

どれだけ尾びれがついてしまったのよ!?

「いやいや。告白は、されましたが
まだ告白の返事はしていませんから」

やめて……それ以上
変な方向に広まるのだけは……。

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