藤沢先生の白いキャンバス。(修正済み)
「はい。すみません。
じゃあ、行ってきます」
そう言うとそそくさと出て行ってしまった。
「まったく。忙しいのは、いいが
ご飯ぐらい食べていけばいいものの……」
お義父さん呆れたようにため息を吐いた。
違う……きっと
私と顔を合わせたくないから
仕事を理由に避けたんだわ。
いくら忙しくても
お母さんの作った料理を少しでも
食べて行っていたもの。
そう解釈すると悲しくなってきた。
胸がズキッと痛んだ。
先生にとって……私は、
義理の妹でしか無いのだろうか。
もう一緒に絵を描いてもらったり
そばに居ることすら迷惑なのだろうか?
「百花。何だか顔色が悪いけど大丈夫?」
メイクをしていても顔色が悪いことに
気づいたお母さん。
「ううん。平気よ!
何ともないから大丈夫」
私は、平気なふりをした。
母に余計な心配をかけさせたくなかったから。
「百花ちゃん。無理はいけないよ?
もし、具合が悪くなったらウチの病院で
診てもらいなさい」
院長……ではなかった。
お義父さんも心配してくれた。
「はい。ありがとうございます」
それでも私は、平気なふりをする。
両親に迷惑をかけないようにと……。