藤沢先生の白いキャンバス。(修正済み)

あれ?

確か……エレベーターで
藤沢先生が居て……それから

「しかし驚いたよ……。
診察室に藤沢先生が君を抱きかかえながら
現れた時は……。
凄い血相を変えて来るのだから。
初めて見たよ……藤沢先生のあんな顔」

思い出し笑いをしたのか
クスクスと笑う佐伯先生。

えぇっ?
藤沢先生が、私を抱いて!?

まさか、藤沢先生が助けてくれたの?

じゃあ、あの匂いやぬくもりは……本物?

考えただけで心臓がドキドキして
身体中が熱くなってきた。

「そ、そうだったのですか……すみません。
ご迷惑をおかけしまして」

病院で……しかも藤沢先生の前で倒れるなんて
恥ずかし過ぎる……。

「フフッ……気にしないで。
それよりもダメだよ。そんなに無理して
仕事をしていたら。
熱が高い上に脱水症状が起きていたんだ。
今は、薬と点滴で落ち着いたみたいだけど」

「薬を出しておくから
今日は、早く帰らせてもらって寝た方がいい。
熱もまだあることだし……」

佐伯先生にそう言われてしまった。

情けない……佐伯先生まで
ご迷惑をかけてしまうなんて。

「はい……すみませんでした」

切なさと申し訳なさで
しゅんと落ち込んでしまう。

すると佐伯先生は、
私の頭をポンポンと撫でてきた。

< 45 / 91 >

この作品をシェア

pagetop