藤沢先生の白いキャンバス。(修正済み)
えっ……?
まさか藤沢先生から
撤回させてくれと申し出があるなんて
夢にも思わなかった。
それって……どういう意味なの?
「あの……それって……どうして?」
私は、不安に思いながら質問する。
ちゃんと答えてくれないと余計に不安だ。
すると藤沢先生は、
「お前が倒れたとき……頭が真っ白になった。
普段冷静に患者を診ているはずの俺がだぞ……?
しかも風邪とか専門外だし。
慌てて佐伯先生に運んだら冷静にあしらわれるし」
「どうもお前のことになると冷静には、
いられなくなる。
不安やイライラしてしまう。
こんなこと……絵を諦めた時で十分だったのに」
苦しそうに話してきた。
藤沢……先生?
それで、私にイライラしていたの……?
不安で……。
「俺は、夢を諦めて。
自分の心を必死に抑えてきた。
なのに……百花。お前がウチに来てから
絵を描いて欲しいと言うし
そばに居れば居るほど
自分の感情がコントロールが出来なくなってきた。
不安なんだ……気持ちが揺らぐのが」
先生は、もしかして
必死に自分の感情を堪えていたの……?
自分を抑えるために。
「なのに……佐伯先生に告白されたと聞いて
我慢の限界だった。
気持ちが暴走する前に……君から
距離を置くつもりだったのに。
今日のことがあって何も出来ない
自分が悔しかった。
君に接する佐伯先生に嫉妬した。
こんな気持ち……初めてだ。
自分でも、どうしたらいいか分からない……」
藤沢先生は、切なそうに言ってきた。