藤沢先生の白いキャンバス。(修正済み)

「俺も百花のことか好きなのかも知れない。
今、無性にお前を抱き締めたくて堪らない……」

そう言いながらギュッと強く抱き締めてくれた。

「嬉しいです……」

私も同じように抱き締め返した。

風邪をひいてしまったけど
お陰で藤沢先生の気持ちを知ることが出来た。

心臓の鼓動が直接伝わってくる。

ドキドキと高鳴っている……。

フフッと笑うと
「笑うな」と言われた。 

でも、嬉しくてクスクスとまた笑いながら
ギュッとしがみついていると
先生のスマホが鳴った。

先生は、私を抱き締めた状態で電話に出た。

「もしもし?あ、あぁ。直ぐに戻る」

電話を切ると藤沢先生は、
ハァッとため息を吐いた。

呼び出しの電話だろうか?

「もしかして……呼び出しですか?」

「あぁ、近くで交通事故に遭った患者が
運ばれて来るらしい。
すぐに戻らないと……」

そう言うと私の身体を離して立ち上がった。

あ、離れちゃう……。

離れたぬくもりが恋しくなってきた。

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