藤沢先生の白いキャンバス。(修正済み)

食べた後に先生は、ゴロンと横になった。
そして青空を見ながら

「いい天気だな。
雲も無くて……何だか清々しい気分だ」

そう言ってくる。

「そうですね」

見える青空は、確かに雲も無くて
清々しいぐらいに晴れている。

それは、まるで私達のように晴々しい。

本当なら今頃。
藤沢先生は、坂下先生と
お見合いをしている頃だろう。
それを破ってしまった。

望んでもいないお見合いに
お義父さんへの反発心。

藤沢先生は、自分の意思で
私を選んでくれたのだ。

それは、いけないことなのかもしれない。
でも……それでも私達は、
お互いに想い愛し合っている。

義理の兄妹のままなんて嫌だ。

育てくれた母やお義父さんには、
悪いと思っているが……この恋は諦められない。
だから許してほしい。

すると藤沢先生が

「あの鳥……自由に飛び回れていいな。
俺と正反対だ。
俺には……飛び回れるだけの翼はない。
父親や医師……跡継ぎとして
ずっと籠の中で生きてきた。
俺の心のキャンバスは、ずっと真っ白で
何かを描くことすら許されなかった……」

「本当は、もっと自由に生きたかった。
誰にも縛られずに……自由に飛び回って
好きな時に好きな絵を描いて……その隣には、
百花が居てくれたら。
どんなに幸せだろうな」

手を空に伸ばしながら
夢物語のように語ってくれた。

それが先生の心から望んでいた未来なのだろう。

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