藤沢先生の白いキャンバス。(修正済み)

藤沢先生は、そんなことを考えていたんだ……?

先生からにしたら 
医者の道は、苦痛で仕方がなかったのだろう。
人の命を預かる。

それは、大きなプレッシャーと不安なのだろう。

自分の道を閉ざされ
自由を無くした先生は、ひたすら自由を求めている。

「それに……あの時
引かれそうになったお前を守れたことは、
俺にとったら誇りに思っている。
もし助けることも出来ずにお前を死なれたら
俺は、ずっと後悔して生きることになっていた。
そんなの患者を見殺しにしたのと変わらない……」

「だから、自分を責めて泣くな。
泣くぐらいなら……俺のそばに居ろ。
ずっと……俺のそばで支えてくれ。
百花……好きだ。
こんな何も無くした俺でもいいなら……結婚しよう」

そう言いながら右手で
私に触れようと手を伸ばしてきた。

何とも皮肉なプロポーズだろうか。
こんな大変な時にプロポーズをしてくるなんて

でも、涙が止まらないぐらいに
嬉しかった。

押し潰されそうになるぐらいの罪悪感や不安を
先生は、一瞬で吹き飛ばしてくれた。

何もかも解放されたから
自然と言えた言葉なのかも知れない……。

その後。
藤沢先生は、リハビリを頑張ってやっていた。

最初は、苦戦していたが、持ち前の真面目さと
努力で左手は、普通に物を持ったり
動かせるぐらいには回復する。

日常には困らなくなってきた。

ただ左足は、脳性麻痺により
動かすこともままならなかった。

そのため車椅子生活を余儀なくされる。

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