キス×キス1〜双子のあんたと甘い日々〜



教室は先生がいなくなった瞬間にざわめきが走った。


「………」



僕は黙ったまま、机に肘をついて、ボーッと外を眺めていた。




「おぃ、加藤」



なんか、イャあな人達が現れたなぁ……。



そう思いながらも、呼ばれた方に振り向いた。




「お前、クラスメートに捨てられて、とうとう捺夜さんにまで捨てられたなぁ!!!!!」



「………」



「んまぁ、捺夜さんの弟だからって調子にのってんのがいけねぇんだよ」



「………」




僕は男子を睨みつけた。



「だから何?」



僕は一言そう言ってやった。



強くなりたいって



こんな奴らに



負けたくないって……!!!




「ふーん…………いぃ度胸じゃねぇか」



僕は誰が言ったのか分からず、目をキョロキョロさせた。



でも、それは



「な………ななな…」



「捺夜さん………」




男子の制服を着た捺夜がポケットに手を突っ込んで、僕の机に近づいてきた。



「それは……」




捺夜が相手になると。
妙に言葉がつまっていく。



「まぁ、いぃ。ウチには関係ねぇし」



捺夜はそう言って教室をでていった。



僕の心に




悲しみを残して。
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