それぞれのバレンタイン
「蓮も碧のこと見すぎだから。」

『えっ?』

引き寄せられて、私はいつのまにか桐の胸に頬っぺがくっついてる。

早業だ。

「こらーっ!いつもいつもイチャつくなー!」

虹、登場。

面倒だから現れなくて良かったのに。

「うるせぇ。オレのなんだから、イチャイチャするに決まってんだろ。」

『そうそう。なんなら、ちゅーもしようか?』

「やめてー。オレのメンタル豆腐だから。ふにゃふにゃだから。いじめないで!」

虹をからかうの楽しい。

『じゃあ、豆腐さん、このチョコどうぞ。』

「おおっ!蓮マジで?嘘。蓮からもらえるなんて、泣きそう。」

本気で涙目なんですけど。

『チョコ位でおおげさね。』

「いやいや、蓮ちゃん?キミ、日頃どんだけオレを邪険に扱ってると思ってんの?それ考えたら、チョコくれるなんて、天使の行為でしょ!」

そんなに邪険に扱ってるかなぁ?

う~ん。

前より優しいと思うけどな。

不思議そうに虹を見てると。

「前より優しいと思うよ。だから、蓮の優しさはそれ以上、虹にはいらないから。」

私の考えを桐は相変わらず読んでくるなぁ。

「おい、なんてこと言うんだよ!蓮もうんうんて頷かない!」
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