それぞれのバレンタイン
遅くなるから誘われなかったと思ったって、正直に話すと。

「バレンタインに男から、部屋で待ってろなんて言えるか。それに…お前完璧忘れてるだろ、アリア?」

はい、また謎の言葉でました。

何でしょう?

「アリア、紅ちゃんが言いたくて、でも我慢してたの気がついてなかったの?アリアが気がついてないみたいだったから、紅ちゃんは1番最初に言うの躊躇ったんだよ。もちろんオレもね。最後、紙袋貰っただろ?」

うん?

確かに帰るとき、家であけてって貰ったものはあるけど。

「完璧忘れてるな。まぁ、いい。シオンもこの際証人だ。」

そう言いながら、夜都は私の左手をとって、ぎゅっと握りしめてきた。

「アリア、誕生日おめでとう。これから先もずっと言い続ける権利がほしい。結婚して、オレを幸せにしてくれ。」

夜都…?

誕生日…ああ。

チョコでいっぱいいっぱいで忘れてた。

そういえば今日は私の誕生日。

それにしても…私を幸せにするじゃなくて、オレをってとこが夜都らしい。

私の左の薬指には、いつのまにかダイヤモンドの指輪が。

それを見た瞬間に、涙が溢れてきた。

「アリア?返事は?」

少し不安そうな夜都の顔。

『夜都…幸せにしてあげるね。』

泣き笑いになっちゃって。

照れくさくてそんな言い方をしてしまったのに。

「ああ、一生よろしく。」

満面の笑みの夜都がそこにいた。

私もすごく幸せになれるって思ってるから。

一生よろしくね!
end
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