辛い、苦しい、でも、好き。
私のお姉ちゃん
今日も私は、あなたのことを目で追ってしまうんだ。


無駄だと分かっていても。


「奈々、おとなりにカレー届けにいくよぉー」


1階から私を呼ぶ声が聞こえた。お姉ちゃんだ。


「はぁーい!」


私は大きな声で返事をして、階段を駆け下りた。

「お姉ちゃん、またカレー作りすぎたの??いつも食べ切れなくて持ってくハメになるのにほんと反省しないなぁ…」


「ごめん、ごめん。ほんと、気をつけてるんだけど…。なんでかなぁ…??」


こくりと首をかしげて、斜め上の方を見る、お姉ちゃん。
ほっぺたが少し紅くなっている。


この仕草を見るたびに、私はいつも、あぁ、お姉ちゃんって本当に嘘をつくのが下手だなぁと思う。


お姉ちゃんが、カレーを作りすぎる理由なんて分かりきってるんだ。


あの人に会うためだ。


「いつもいつも、ごめんねぇ…。付いてきてくれる??」


上目遣いで私のことを見る、お姉ちゃん。


一瞬ぎりっと奥歯をかんだけれど、


「もう、しょうがないなぁ…。今回だけだよ??」


私はいつものセリフを口にした。


さぁ、今日もバカみたいにニコニコ笑っていよう。
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