懐恋。

うまい、うまい言いながら食べる桑田君を見て、梨奈ちゃんはすっごく嬉しそうに笑うの。それがすごく可愛い。

「あーぁ、明音の弁当も食いたかったな。」

ゴクゴクと喉を鳴らしながらお茶を飲みほして、そんな事を蓮が言う。

「お前って本当に一条さんの事が好きだよな。」

ん?えぇ!?今桑田君なんて言った!?

「まぁ万年片思いだけどなー。明音は全然俺のことを一人の男として見てくれねーの。」

あれ?蓮も否定しないし、なんならちょっと悲しそうな顔でそんな事を言う。ビックリした私は梨奈ちゃんの顔を見れば、目をパチくりとされて

「本郷君って本気で恋愛対象として明音の事が好きだったの?」

私が疑問に思っていた事を聞いてくれた。

「え?そうだよ。本気だよ。明音が俺のことを好きなら付き合いたいよ?」

んえ!?噛み砕いていたおにぎりをビックリしたあまり勢いで飲み込んでしまった。

「そうだったの!?からかってるだけかと思ってた!」

はい、お茶と梨奈ちゃんに手渡されたのを受け取って飲む。

「えぇー!そんな風に思ってたの?俺いつでも本気だったんだけど!」

あ、また悲しそうな顔でそんな事を言うからざわりと胸が鳴る。

「蓮…ごめんね…」
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