懐恋。
観覧車から降りて手を差し出され、その手を見つめてると握り締められ、え?って顔を上げるとはにかんだ桑田君が手繋いで行こう?って言うので待ち合わせの売店に手を繋いだまま向かうと

「梨奈ちゃん!おめでとう!!」

って私よりも嬉しそうに駆け寄ってきて小さい明音にぎゅっと抱きつかれた。


「うん、ありがとう。また話聞いてね?」

うんうん!って首が取れるんじゃないかってぐらい本当に私よりも嬉しそうにしてくれる。

「桑田おめでとう。」

隣でも声を掛け合っててこんなに祝われるなんて思ってなかったから嬉しい。

「じゃあ桑田は安村家まで送ってやれよ。俺は明音送ってくから。とりあえずバス停まで行くか。」

ちょっと照れくさそうに頷く桑田君を見るとこっちまで照れてきちゃう。だけど本当に私桑田君と付き合う事が出来たんだなと繋がられてる手を見て思う。

バスを降りた後2人と別れて揺れる電車の中時々目が合うと照れ臭く笑い合う。

「安村さん、梨奈って呼んでもいいかな?」

「うん、じゃあ私も雄大って呼ぶね。」

こんな会話が出来るなんて遊園地に来る前には思わなかった。こんな会話が出来るのもお互いの気持ちが通じたからこそ、くすぐったいような初々しい会話が出来るんだ。
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