懐恋。
ってあれ?また私ったら余計な事考えてる。頭の中の考えを消すように頭をポカポカと軽く叩いた。

「何1人で頭叩いてんの?打ち所悪くて変なふうになっちった?」

「わ!先生!急に現れないでください。」

「急にって言われてもなー。俺結構前から居たけど。」

「え、居たなら居たでなんで声かけてくれなかったんですか?」

「だって一条ちゃん1人で変な顔してたから見てると面白くてな。んふふ。」

えっ、わっ。急に一条ちゃんって何!?先生さっきは一条さんだったよ?なのにちゃんって…!

「ほら、また1人で変な顔してんの。おかしいな。」

「さっきから先生何気に変な顔って言うの酷いです!」

「んふふ。そーいや保険の先生居ないってさ。どーすっかな。俺が手当してもいい?」

「あっ、はい…」

「んじゃどっか痛むとこある?」

「いえ、特にはないです。」

「擦りむいたとことか打ったとこもない?」

「はい、特には。」

「鼻血は?」

先生が手当てするってそれだけでなんでか心臓がキューってなって苦しいのに、先生は長い睫毛をパチパチさせながら私の方を一生懸命見つめてくるの。頭では先生は生徒の1人として私の事を心配してくれてる、だから親身になって聞いてくれてるって分かるんだけどこうも見つめられっぱなしで、しかも至近距離で喋りかけてくるから痛いっていったら心臓がさっきから痛い。
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