懐恋。
「お、決まった?どこ行く?」

パソコンに再び向き直った先生は何やら県外の写真ばっかり眺めてる。

「水族館行きたいですけど、先生はどこか行きたいんですか?」

水族館だと綺麗な写真が撮れそうだし、そして何よりデートスポットみたいで行ってみたい。

「お、水族館いいじゃん。行こっか。いつが都合いい?」

一瞬こっちを見て笑ったと思えばまた視線はパソコンに向けられるから、先生が着ている服の裾をツンツンっと引っ張る。

「ん?どした?」

やっとこっちを見てくれた先生に

「さっきまで合ってた視線はパソコンに向けられるし、質問に聞いても答えてくれないです!」

ムッとしたような声が出てしまった。

「ん?なに?拗ねてんの?可愛いな。ほっぺも膨らませて。よしよししたろっか?」

うわっと気づいた時には既に遅い。先生はわざとしてたんだ。聞かれてる事も分かってたけど答えなかったのも、パソコンばっかり見てるのも、わざとしてた。ほら、その証拠にしてやったりな笑顔でこちらを見ている。

「なんで…?先生はやっぱりずるい。」

ふんって顔を背ければ

「もう、本当可愛いな。なんでって明音が急にシャットダウンしたでしょ。俺は久々に明音と会えるの楽しみにしてたのに。だからわざと素っ気なくした。ごめんな?」
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