懐恋。
ぎゅーって心臓が鳴る。そうやって上目遣いで謝るのも、小首かしげるのも、ちょっと口を尖らせてるのも、吐き出される言葉も、全部が全部計算なのか分かんないけど、そんな顔されたら

「いいです。こちらこそごめんなさい…」

って言うしか出来ない。

「よし、じゃあ仲直りな?」

ニカッて笑いながらポケットをゴソゴソしてホイって渡されたのは

「いちごミルク飴?」

白色に小さい赤い苺が描かれてる包装紙が私の手のひらに乗っかっている。

「なんかその飴明音みてーだなって思って、気付いたら買ってたからこれからご褒美やごめんなって思った時はそれをあげることにした!」

得意げに言う先生に頭の中は何故いちごミルクなのか分からないけど、顔は自然と綻んでしまう。

「で、明音の疑問は俺がパソコンで何見てるかだっけ?」

そうです。と答えればパソコン画面を私に向けて

「日本中の綺麗な名所特集ってやつ。これ写真で撮ったらどんな風になんのかなって。すっげー綺麗だと思わね?」

確かに映し出されてる画像には綺麗な花や、素敵な滝や山など自然の素晴らしさが伝わってくる。

「先生、行くんですか?」

「んー、さすがに部活で旅行は行けないよな?明音の親もそうだけど学校も認めてくれなさそうだよな…」
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