懐恋。
「席つけー。今日のホームルームは体育祭の種目決めるぞー。」

チャイムが鳴って、お喋りをやめるとなんともまあ嫌なことを言いながら教卓に立つ先生。

「えぇー。」

「おぉー。」

と賛否両論の声が入り混じる。運動するのが好きな人や、お祭りや騒ぎ事が大好きな人たちと、そうでない人が居るけど私も後者だ。

「おら騒ぐな。最低でも一人一種の競技に出ることー。自信ある競技や人数足りないとこは協力し合うことー。」

「せんせー、なんかご褒美とかねーの?そっちの方が盛り上がるっしょ!?」

クラス一のお調子者の男子がそんなことを言うと、うおー!ってバカな男子も便乗し始める。

「お前ら強気だな。よし、じゃあ優勝したらバーベキューでもすっか。」

「よし!お前ら優勝目指すぞー!」

盛り上がってる体育祭に前向きな人たちを横目に短い溜息を吐くと

「あんたさっきから百面相。」

出た。さっちゃんの鋭い突っ込み。

「さっちゃんはいいよね。どの競技出てもちゃんと活躍できるでしょ?」

頭もよくて、運動神経抜群なさっちゃんにはこの悩み分からないよ…。

「大丈夫だよ、楽しんでやろう。」

梨奈ちゃんからフォローが入るけど、梨奈ちゃんはそつなく何でもこなせるから羨ましい。
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