懐恋。
そうやってまた、期待持たせるようなことをさらりと言う。なんでもなかったように澄ました顔をして、私の顔を見つめてくる。
「じゃあ、体育祭頑張ったらご褒美としてどこか連れてってください。」
道具を探して引っ張り出してる先生の背中を見つめて、お願い事を伝えれば
「ん。いーぞ。あ、でも旅行はパスな。」
こちらを向いたかと思えば、先生の顔をして
「やっぱ生徒と2人きりで泊まりはリスク高いって進藤ちゃんにも言われたし、明音の親御さんも心配だろうし。出かけるだけなら全然いいぞ。」
そのまま倉庫を出ていく先生の背中を見つめることしかできない。
距離が近づいたと思ったら、先生と生徒という距離感を突き放される。私が勝手に好きになっただけだけど、先生の顔をして言われると何も言えなくなっちゃう。
「一条ちゃん何してるの?練習すんぞ。」
振り返って、先生の顔をして一条ちゃんって呼ぶ先生はずるい。でもそんな先生に対して
「あ、はい。今行きます。」
って素直に答えて先生との距離を詰めるように歩いていく私が一番ずるい。どんだけ突き放されても、どんだけ先生の顔をされてもたまに見せる学さんの顔をされたら突き放せない。嫌いになれない。そんな人が好きな私が一番ずるい。
「じゃあ、体育祭頑張ったらご褒美としてどこか連れてってください。」
道具を探して引っ張り出してる先生の背中を見つめて、お願い事を伝えれば
「ん。いーぞ。あ、でも旅行はパスな。」
こちらを向いたかと思えば、先生の顔をして
「やっぱ生徒と2人きりで泊まりはリスク高いって進藤ちゃんにも言われたし、明音の親御さんも心配だろうし。出かけるだけなら全然いいぞ。」
そのまま倉庫を出ていく先生の背中を見つめることしかできない。
距離が近づいたと思ったら、先生と生徒という距離感を突き放される。私が勝手に好きになっただけだけど、先生の顔をして言われると何も言えなくなっちゃう。
「一条ちゃん何してるの?練習すんぞ。」
振り返って、先生の顔をして一条ちゃんって呼ぶ先生はずるい。でもそんな先生に対して
「あ、はい。今行きます。」
って素直に答えて先生との距離を詰めるように歩いていく私が一番ずるい。どんだけ突き放されても、どんだけ先生の顔をされてもたまに見せる学さんの顔をされたら突き放せない。嫌いになれない。そんな人が好きな私が一番ずるい。