懐恋。
「先生って好きな人居るの?」

ポツリと出た言葉に

「明音の事かもしれないでしょ?」

「そうだよ!それかこの場を収める為に言っただけかもよ?」

なんてフォローが入るけど実際のことなんて分からない。先生には好きな人が居るかもしれない。きっと先生の好きな人は私と全く正反対の人だと思うの。頭が良くて、運動も出来て、スタイル良くて…なんて考え出したら鼻の先がツンってする。

「あ、明音泣こうとしない。先生や皆に騒がれるよ?それでもいいの?バレちゃうかもよ?」

「ん…よくない!さっちゃんどーしよ。」

「まずはゆっくり深呼吸して?それから楽しい事思い出して?ね、とりあえず落ち着こう。」

教えてもらったようにすればポツリと1粒零れたけど、なんとか踏ん張る事が出来た。

「そろそろ片付けて花火でもすっか。」

しばらくバーベキューを楽しんだ後、そんな声が聞こえて片付けをし始める。

「ちょっと一条ちゃん手伝ってくんね?そのクーラーボックスを持って俺について来て?」

空になったクーラーボックスは軽いけど、何で私に頼むのかな?と思いつつ素直に従い、先生のあとを着いていく。向かう先はどうやら職員室のようだが、皆との距離が離れた後

「さっき泣いてたっしょ?」

なんて急に言われてえっ?と思わず聞き返す。
< 123 / 139 >

この作品をシェア

pagetop