懐恋。
打ち上げも終わった翌週の日曜日。私は駅で先生が来るのを待っている。

「お、明音早いじゃん。」

ふにゃって笑いながらどんどん目の前に近付いてくる先生は、黒TシャツにGパンというラフな格好なんだけど、大人の色気が醸し出されていて胸がドキリと鳴る。

「おはようございます。先生今日は眠そうにしてないですね。」

ちょっと嫌味を含んだ言い方をしちゃう私はまだまだ子供。そんな私に対して先生は

「学って呼べよ。どこ行くか考えた?」

って何も気にしてない様子。これじゃあ私だけが悪者みたい。

「学さんの行きたいところに連れてってください。」

いくつか行きたい場所を思いついたけど、先生の行きたいところに行ったほうが先生のいろんな表情を見れるから好きな場所に連れてってもらいたいと思った。そんな先生は困った顔をしながら

「俺が行きたい場所かー。んー、難しいな。」

って頭をポリポリしながら考え出す。

「別にどこでもなんでもいいですよ?そこら辺の公園とかでも。先生が行きたい場所はどこですか?」

困った顔をしてる先生も可愛いんだけど、ずっとこの場所に居たら、もしかしたら学校の人に見られてしまうかもしれないから行き場所を催促すると

「本当にどこでもいいわけ?」

ってイタズラっ子のような笑みを浮かべて私を見つめてくる。
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