懐恋。
鳩が豆鉄砲くらったような、まさにそんな感じで目をぱちくりさせる。

「んはは、面白い顔。」

って笑ってる先生は一旦置いといて、今先生はなんて言った?俺ん家って言った?いまから私は先生の家に入るの?

「おーい?百面相してる明音さーん?聞いてる?」

私は今から先生の家に入って、一緒にご飯作って、食べて、DVDを見るの!?

「もういい、勝手に連れてくぞ。」

グイって反動がしたと思ったら先生に腕を引っ張られて気付けば歩かされてて、あっという間に先生の家の扉の前に私は居た。

「ほら、入れ。」

「学さん…入っていいんですか?」

「ここまで来て何言ってんの?入っていいぞ。」

確かにここまで来て私は何を言ってるのだろう。でもやっぱり聞かずにはいられなかった。私なんかが先生の家に入っていいのかな?って思ってしまった。促されるように足を踏み入れるとこれぞ男の部屋!って感じでリビングには、ソファー、テーブル、テレビとシンプルな必要最低限の物が置かれていた。

「適当に座っといて。俺ジャージに着替えてくる。」

ソファーにちょこんと座ったけど、面白そうな物や物色出来そうな物が無くて、ボーっとしてた所に

「んはは、暇そうにしてんな。」

頭上から聞こえた声に思わずビクっとする。
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