懐恋。
「いいですよ、すっごく。キュンってなります。」

「ふーん?誰かにされたことある?」

画面から目を離さずサラリと聞いてくるけど、それは私に興味があって聞いてるのか、はたまた会話を繋げるためだけに聞いてるのか。

「ないです。」

そっかー。なんて答えながらもう意識は流れてる映画に持ってかれてるので、会話を繋げるために聞いてきたのかな。先生は私を近付けたり離したり。

「なに?じっと見てきて。」

画面に集中してるのをいいことに先生を見つめてたら、穴が開くほど見ていたのか先生に気付かれちゃった。

「ううん、何も無いです。」

何かある?って聞かれても本当に何も無いんだもん。先生は私の事をどう思ってるのかなんて、聞いたらこういう関係も終わってしまうのかもしれない…と思ったら聞けない。
そ。って短く答えたらまた画面に集中するので、私もその隣で見ることにした。

「意外に面白かったな。お、こんな時間か。送ってくから帰るぞ?」

映画が終わって時計を見たら18時前で、もうこの時間は終わっちゃうみたい。

「先生、次はいつ2人で会えますか?」

「んー?とりあえず期末終わったらじゃない?部活もしばらくないしなー。」

ほら、私がちょっと近付けば先生はちょっと離れる。でも私がちょっと離れれば先生は近付いてくる。
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