懐恋。
「これにしてみる!」

私が手に取ったのは黒色に黄色いまん丸お月様、そして色とりどりの星が描かれているマグカップ。梨奈ちゃんの言葉を聞いてからこれが私の中で先生っぽいと感じた。普段は黒のイメージ。取っ付きにくそうな黒い感じがあるんだけど、色とりどりの星みたいに色んな顔があるの。ちょっとだるそうで、ちょっと眠そうにしてて、だけど生徒の事を考えてたり、子供みたいに屈託ない笑顔で笑ったり。黄色いまん丸お月様は私に対しての先生。手で掴めそうなぐらい大きいのに、実際は距離感がもとがしくって。でもいつも私の事を優しく見守ってくれてる。そんなイメージのマグカップ。

「うん、素敵だと思うよ?」

「明音、ラッピングも色々あるみたいだから見てみれば?」

さっちゃんの言葉にフロントを見ると値段とラッピング用紙が貼られていて、

「青の包装紙に、赤のリボンを付けてください。」

箱詰めされて、綺麗にラッピングされていくマグカップを眺める。青の包装紙はただ可愛かっただけなんだけど、赤のリボンはまだまだ告白出来ない私の精一杯の気持ちの表現。カップルのイメージは赤かピンクな気がするの。でもピンクだと可愛すぎちゃうから赤色をチョイスした。先生喜んでくれるかな?先生のことを考えると自然と顔が綻ぶ。
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