懐恋。
この空気感のまま、プレゼントを渡そうとカバンの中をガサゴソと漁り出す。

「ん?どーした?」

「先生…これどうぞ!」

カバンの中から箱を見つけて先生に差し出す。

「お、どーした?これなんだ?」

「いつも先生に部活とか勉強とかお世話になってるからと思って…開けてみてください。」

綺麗に包装紙を開けてくれる先生をじぃーっと見つめる。箱からマグカップを取り出して

「おぉ!すっげーいいじゃんこれ。コーヒーうまくなるな。ありがとう。」

腕が自然と伸びてきて、ポンポンと先生の手のひらが私の頭に置かれてる。えっ!?置かれてる!?

「あの…先生…?」

「おぉ、つい…な?嬉しかったから。ごめん、嫌だったか?」

「あ、いえ、大丈夫です。」

ついって言いながら触れてきた先生の手のひらの温もりを自分の手のひらで触れてみる。先生が私に触れてきたのと、温もりがまだ残ってて耳まで真っ赤になる顔を先生にバレないようにと、俯かせる。

「俺早速コーヒー入れてくるから明音は写真集でも見てて?」

先生がその場を離れたので、平常心を取り戻そうと心を落ち着かせる。

「明音は甘いのでいいよな?」

「あっ、はい!!」

急に聞こえた先生の声に慌てて写真集を広げる。
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