懐恋。
ドキドキドキドキ…慌ただしく鼓動が鳴ってて、写真集の写真なんか全然頭に入ってこない。
「ほい、ココア。」
写真集の前にマグカップが置かれて、お礼を言った後に気持ちを落ち着かせるためにココアを一口飲む。
「明音はさ、どういう写真撮りたい?こっちの写真集は人物メーンで、こっちは建物とか物とか。こっちの写真集は風景。写真にも色々あってさ、練習で色々撮ってくのもありだけど、的を絞って撮る方が効率はいいよな。」
だからこんなに沢山写真集を用意してくれたんだ。真剣に1冊、1冊に目を通した後に
「風景にしてみます。やってみて…って感じですけど。人物や建物などは被写体以外にも周りに溶け込ませるのが難しそうだから、風景にしてみてもいいですか?」
「おう。俺も風景が一番いいと思ってた。今まで色々撮ってきたけど、明音の写真は風景が断トツに素敵に撮れてる。」
こんなストレートに褒めてくれる事は今までまでなかったので、一気に顔に熱が集まった。
「んはは、照れてるのか?でも本当だぞ。俺は明音の風景写真が好き。」
「も…もういいです!ありがとうございます。」
これ以上褒められ続けたら茹で蛸になっちゃうぐらい、体中が照れて熱い。