懐恋。
遅い、遅い。遅い!!!
明音の奴何やってるのかしら?
集合時間10分も過ぎてるじゃない!あ、まさかあの子ったら中学に行ってるんじゃないでしょうね?
あの子の場合可能性があるからこれまた怖い。
本当バカっていうか抜けてるっていうか究極の天然には困る。中学時代何回登校日や始業式間違えたか数え切れない程だわ。あ、なんか嫌な予感。
まさかよね?とりあえずスマホを手に取り電話を掛けるが何故出ない!!

「さっちゃーん!ごめんね!」

5分後にやっと来た。ぜぇぜぇと肩で息をしながら白い透き通った肌をほんのり赤く染め、乱れた髪を手櫛で整いながらちょっと涙目な大きな瞳を私に向ける。

「明音!入学式早々遅れてきて今まで何やってたのよ!あんたの事だからまさか中学に行ったとか言わないよね!?電話にも出ないし!」

「わ!さっちゃん顔!顔怖いよ!あのね?制服に見とれてたら家出る時間遅くなっちゃったの!」

「はい?まさかその理由で遅刻してきたわけ?もう!とにかく急ぐよ!あと15分しかないんだから!」

明音の手を取り、走って学校へ向かう。幸い私達への高校は徒歩通勤の距離なのだが明音のせいで走って行かなきゃ間に合わない!
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