懐恋。
ものすごい形相で見てくるさっちゃんが正直怖い…。

「沙月、そんな顔しないの。明音が話したくなるのを待つべきだと思うよ?」

「別に私は怒ってるわけではないよ?ただこの子に好きな人が出来るのって初めてだから気になって。明音ごめん。」

「ううん…大丈夫だよ?でもやっぱり2人にはちゃんと話すね!あのね…」

せっかく話そうと決めたのにタイミング悪くチャイムが鳴ってしまって、この話は一旦保留になった。それから午後の授業を受けて放課後待ってましたといわんばかりに二人に捕まってしまった。そのまま駅の近くにあるケーキ屋さんに行き、注文を済ませたあと二人から穴が開きそうなぐらいの視線がビシビシと伝わってくる。

「で、明音話してくれるの?」

二人の声がハモって私に飛んできたので話す決意をした。

「あのね、担任の田原先生がね今すっごく気になるの。先生見てると心がホワホワ温かくなって、先生と目が合うと心臓がバクバクして、先生と喋ると顔が真っ赤になるの。私ねあ?なんでこうなるんだろって思ってたけどさっきの梨奈ちゃん見て気付いたの。あ、私は先生の事が好きなんだなって。だから…先生が好きなの!」

一気に喋って疲れたのと照れ隠しで、運ばれてきたココアを私は手に取った。
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