懐恋。
「さっちゃ…ちょっと！早いよ！」

「うっさいわね！こっちだって入学式早々走るなんて思ってもないのよ！一体誰のせいでこんな事になったと思ってるのよ！」

私に腕を引かれながら付いてくる明音をキッと睨んで黙らせて高校まで猛ダッシュ。

明音は中学１年の時同じクラスになって仲良くなった。
つるつるサラサラの綺麗な長い黒髪。丸い目。透き通った小さい鼻。ピンクな唇。華奢で真っ白い肌。
初めて見た時はまるでお人形さんのようだと思った。
私は運動が好きだからバッサリショートヘアーで、睨んでるの？って思われる様な目をしてて、鼻だってぺちゃんこで唇も肌も日焼けで茶色いし、筋肉だって付いてるから明音のその美貌が私には羨ましい。

でも明音は私の事を羨ましいっていうから本当この子はバカ。運動も勉強も恋愛も出来ていいなーって言うけど私からしたら明音のような綺麗な女の子の方が羨ましいよ。それに、明音本人は恋というものをした事がないからその感情が分からないだけで、中学の時ファンクラブが出来てた程のモテ女だって事を自覚した方がいい。当の本人は気付いてないなんて笑っちゃう。
だから私はこんな明音と一緒にまた三年間居るんだなーとそんな事を思いながらなんとか学校に着けたので貼り出されてるクラス表を見ながら少し乱れた息を整える。
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