懐恋。
なんとかさっちゃんのお陰で入学式早々遅刻大失態は免れ、乱れまくった息を一生懸命整える。

「明音、クラス表見るわよ?」

「はぁ…うん。」

この瞬間凄くドキドキするよね。小さい時に箱からプレゼントを探すみたいなドキドキ。さっちゃんとは同じクラスになれるのかな、隣の席の男の子はどんな人だろ、友達になってくれる子は居るかな、なんていっぱいのドキドキが胸の中いっぱいになるの。

「あ、私のクラスB組だ!さっちゃんは?」

「まさか4年目も一緒になるとはね。」

「同じクラス?嬉しいな!」

「はいはい、教室に移動するよ。」

教室に着くと席順は自由と黒板に書かれており、私とさっちゃんは空いてる窓側の後ろから2番目に着席した。
後ろの席には女の子が1人で座っていたので、その子に話しかけようとくるりと後ろを振り向いた。

「あ、あの私の名前は一条明音と言います!この子はさっちゃんです!」

「あのね、自分だけフルネームで私の事はあだ名で紹介するんじゃないの!私の名前は本田沙月、よろしくね?」

「はい。話し掛けてもらって嬉しいです。私は安村梨奈です。よろしくお願いします。」

髪色茶色だし、巻いてるし、化粧バッチリで一目で見てギャルな梨奈ちゃんはそんな丁寧な言葉で返してくれるからさっちゃんと顔を合わせて目をパチくりとした。
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