懐恋。
授業が終わって、テニスコートに向かうさっちゃんと、帰る梨奈ちゃんと教室でバイバイして、資料室へ向かった。

「先生居ますか?」

ガラガラと引き戸を開けながら入るとソファーに寝そべって、陽に当たって気持ちよさそうに寝ている先生が居た。あれ?他の生徒は居ないのかな?って思いつつ、起こさないようにとゆっくり先生の元に向かった。本当に気持ちよさそうに寝てて、睫毛がない先生は睫毛の影を作っている。フワフワな髪の毛触ってみたいなーって手が自然に伸びたところにガラガラと引き戸が開く音がしたので、慌てて手を引っ込めた。

「田原ー、お前に荷物届いてたぞー。お?君は確か…」

「あ、写真部の一条です…」

体育教師の進藤先生が入ってきたことにより、先生の寝顔は拝めなくなっちゃった…。

「あ、B組の一条だな。こんなんが顧問で大変だな!」

豪快に笑う進藤先生にポカーンってしていると

「んん…進藤ちゃんうるせー…」

うるさそうに眉間に皺を寄せながら目をゴシゴシしながら先生が起き上がった。

「うるせーって部活中だろ?ほら、田原に荷物届いてたぞ。」

「ん、サンキュー、じゃあグランド戻れ。」

シッシッと追い払うように手をヒラヒラ振る先生にクスリと笑った。
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