懐恋。
「お、一条ちゃんおはよー。」

「おはようございます。んふふ。」

「んんー?一条ちゃん何笑ってんだ?」

「先生寝ぐせ付いてます。」

「お!?どこだ?」

私に気付いておはようと言ってくれた先生の後ろ髪から、ぴょこんとはねていて可愛すぎて思わず笑ってしまった。

「先生これ進藤先生が届けてくれましたよ?」

どこだどこだと寝ぐせを探している先生は可愛いけども今は部活中だから、話題を変えてみると

「おお、さっきうるさかったのはこれか。」

って言いながらダンボールを開封し始めた。

「あれ?これってカメラですか?」

「そ。一応写真部の顧問だから買ってみた。こっちのカメラは一条ちゃんが使って。」

ほいと渡されたのは可愛らしい赤色のデジカメ。

「先生のカメラは?」

「俺は父ちゃんからこれ貰った。」

そういって一眼レフを取り出して見せてくれた。

「カメラありがとうございます。そういえば他の部員は居ないんですか?」

部室に入ってきたときに感じた疑問を聞いてみると

「おう、写真部って立ち上げたばっかなの。他に部員は居ないから俺と一条ちゃんだけー。」

ふにゃって可愛い笑顔付きでそんなこと言われたら私もつられて笑ってしまう。そっか、そうなんだ。2人きりなんだ。
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