懐恋。
「先生、どうかしました?」

「ん、前みたいになりたくねーからはっきり言ってもいいか?」

視線を合わしてきて聞いてくる先生にコクリとうなずくと

「その幼馴染について詳しく教えてくんねー?」

とポツリと言葉を発してきた。それに私は

「蓮は保育園から中学校まで一緒だった幼馴染で中学からはさっちゃんも知っています。えっと後は、バスケを中学からやってて、あ、中学から金髪にしててピアス空いてます。」

ふーんって顔しながら聞いてくれる先生。

「彼女とかはいねーの?」

「あ、昨日は居ないって言ってました。なんかいつもお調子者で俺には私が居ればいいとか、結婚相手は私だとか言ってますけど、興味が全然なくて詳しくは分かりません。」

「そっか、一条ちゃんは興味ねーのか、そっか。」

って言いつつ若干口角が上がっている先生は機嫌が戻ったみたいだ。

「はい、連とは幼馴染でそれ以上でも以下でもなくて。唯一のとこ友達です。」

「ならいっか。まあ、相手は明音の事狙ってると思うけどな…」

「え?先生なんて?いっかの後が聞き取れなくて…」

ボソボソと急に小さな声になるから聞き返してみると

「なんでもねーぞ。それよりデジカメ貸してみ?」

と何もなかったように話が終わっちゃった。
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