懐恋。
「おらー、ホームルーム始まめるぞー。」

チャイムが鳴って教室に入ったら、まだ喋ってる生徒もいて席に着かせる。

「とりあえず出席取るぞー。」

生徒の名前を呼びながら顔を見ていくけど、あれ?明音の顔がなんか違う。なんだあれ、めちゃくちゃ可愛いじゃねーか。

「田原ちゃんー、目開けたまま寝てるの?」

「あ、悪い。えっと次は…」

明音に見とれてたら途中からフリーズしてたみたいで、生徒にいじられてしまった。出席だけさっさと終わらせて、残りの時間は自習にさせる。
それで俺は教卓に座り、明音をじーっと他の生徒に気付かれない程度に見つめる。なんだあれ。すっげー可愛くなってるけど。あれか?化粧でもしてんのか。なんで急に色気ついちゃって。化粧してる明音は可愛いけど、俺が可愛いって思うってことは他の男も可愛いって思うだろうが。そうなるとどうなる?ライバルが増えるってことになるからやだなー。あーくそ。なんでそんな楽しそうに笑ってるんだよ。明音の笑顔は花が咲いたように可愛いからあんまし男の前で笑ってほしくねーんだよ。本田と安村と楽しそうに喋ってるのはいいけど、なるべく男がいる前で笑ってほしくねーよ。って俺こんなにヤキモチ妬きだったけ?
そんなことばっか考えてたらチャイムが鳴ったので俺は職員室に足を向けた。
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