懐恋。
んー。先生と海は行けるのかな?もしかしたら行けないかも…

「一条ちゃん、一条ちゃん?」

「え、あ、はい!」

休み時間にトイレに行ってボーっと考えてたら、前方に先生がいつの間にか立っていた。

「どったの?なんかあった?」

不思議そうに顔を覗き込んで心配してくれる先生。

「先生は…あ、いや、なんでもないです。」

思わず言いそうになちゃったけど、海には行ってくれないんですか?なんて聞けるはずがない。

「なーに?俺の事なの?」

そんな優しい目で見つめられたら思わず言っちゃいそうになる。

「う…海…」

「へ?海?」

やっぱり言えない。なんか先生を困らせてしまいそうで…めんどくさいって思われそうで、言葉が喉につっかかる。

「明音、海って?あ、課外部活の事かな?」

そうやって名前を急に呼ぶのはずるいし、優しく聞いてくれるのもずるい。先生は私の心をぎゅうぎゅうさせる。コクって頷くと

「ごめんな?色々やんねーといけないことが溜まっててさ。でも今週末空いてる?さっき進藤ちゃんと話しててさ、今週末なら行けそうなんだよな。」

心配そうな顔してたのが笑って言ってくれる先生はやっぱずるいんだ。そんな笑顔見せられたらさっきまで悩んでたことは、どこかに吹き飛んでいった。
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