懐恋。
「よし、皆来たか。んじゃあルール説明するべ。女子を狙う時は制服だから足を狙うの禁止な。男子はまぁなんでもいいぞ。このクラスは32人だから16人ずつに2チーム作ること。俺は負けそうなチームに交互に入ってく。勝ったチームにはジュース、負けたチームにはお茶か水をあげてやるから適当に頑張れよ。んじゃ適当にチーム作れよー。」

そう言って先生はペタンと地面に座り込んで、また欠伸を一つしてボーッと空を見上げてる。このまだ数時間しか先生の事は見てないけど、なんとなく先生の事が分かってきた。先生は眠そうな垂れ目じゃなくて、常に眠い垂れ目でそれを隠すこともせず欠伸を繰り返す。そして自由気ままに行動する人で、細かい事や決まった事は嫌いな人なんだな。あ、今また欠伸をした。んふふ。先生ってまるで猫みたいな人だな。あのフワフワの髪の毛も猫みたいに柔らかそうだし。

「うっわ!明音何そのだらしない顔!それにさっきから先生の方をずっと見すぎじゃない?」

「わっ!またさっちゃんに驚かせられちゃった!だって先生欠伸ばっかりしてるんだよ?まるで先生じゃないみたい。」

「先生みたいじゃないっていうか、あの人根本的にやる気がないだけじゃない?」

「私も梨奈の意見に同意する。何あの人?入学早々なんでドッヂボールしなきゃなんないのよ!」

「え、そうかな?でも久しぶりのドッヂボール楽しいよ!きっと!あ、チームに分かれないと!」

このまま話してたら先生の事を援護しそうな自分が居て、慌てたようにチームの輪に入っていった。
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