懐恋。
「空いてます!でも進藤先生って…?」

進藤ちゃんって進藤先生の事なんだと思うけど、なんで進藤先生が出てきたんだろう?

「俺車も免許も持ってなくてさ。進藤ちゃんとは仲良しなわけで、明音の事話してあんの。進藤ちゃんに車出してもらって、彼女も連れてきてくれるって。」

そうなんだ。先生は先生なりに海の事考えてくれてたんだ。嬉しくなって思わず笑っていると

「お、やっと明音が笑ってくれた。楽しみだな!」

あーもう。先生って本当にずるい。私よりも嬉しそうに笑ううなんて。私の心臓をぎゅうーっと締め付ける。

「先生、ありがとうございます。」

「おう、あ、授業始まるぞ。また部活の時な?」

浮足立てて教室に戻るともうみんな席についていたので、慌てて私も席に着いた。

「で?何?あんたその顔。トイレ行ってからきもいよ。」

次の休み時間にさっちゃんに早々に突っ込まれる。

「いい事でもあった?」

それに引き換え梨奈ちゃんは優しい聞き方をしてくれる。

「あのね?先生に会ったの!」

「会ったって担任だし、部活でもいるじゃん。」

相変わらずさっちゃんは厳しいや。

「でもね?海連れてってくれるって!」

「本当?良かったね!だから明音嬉しそうだったんだね!」
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