懐恋。
梨奈ちゃんがおずおずと近づいてきて

「ちょっと話があるんだけど…」

って言うから話も聞きたいけど、部活中だしどうしようかと思ってたら

「一条ちゃん、今日はおしまいにするか。明日は現像見るとこから始めればいいからさ。んじゃあ、終わりー。」

あっけらかんといした声で部活を終わらせちゃう先生。

「え、部活終わるまで待ってますけど。」

梨奈ちゃんも部活が終わっちゃうのは予想外だったのか、慌てた声で言うけど

「んー?安村話あんだろ?部活はいつでもできるしいいぞ。」

先生はもう部活を終わらせる気満々だ。

「明音いいの?」

申し訳なさそうな顔で聞いてくる梨奈ちゃんは、きっと自分のせいで部活が終わったって思っちゃているのだろう。

「うん、写真は撮ったから大丈夫。それよりもどこで話す?」

部活中に来たってことはよっぽど大事な話だと思うし、いつも聞いてくれるからこそ私もちゃんと聞いてあげたい。

「俺職員室行くからここ使っていいぞ。最終下校時間にはちゃんと帰るなら。」

プリンターなどの電源を切って言ってくれる先生に

「じゃあ帰るときに連絡します。梨奈ちゃんここでいい?」

「全然大丈夫だよ。先生も明音も邪魔してごめんなさい。」

頭を下げて謝ってくる梨奈ちゃんに

「そんな気にするな。じゃあ俺は出るから。」

って先生は部室を出て行って梨奈ちゃんと2人きりになった。
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