懐恋。
「あーわり、つい見とれてた。」

恥ずかしそうに鼻先をポリポリと掻いて誤魔化してるようにも見えるが、見とれてたって普通に言っちゃう先生。ファミリーカーなのかゆったりしてる空間で軽じゃなくて良かったなと思う。もし軽だったら体と体が触れ合いそうで気が気がじゃなかったと思う。車内では遠藤先生のチョイスかリズムがいい音楽が流れて時々会話をしながらあっという間に海に着いた。

「んじゃあ、また帰るとき連絡しろよ。」

ってあれ!?車から降りたのは私と先生だけで遠藤先生と唯さんはそのまま車に乗って出発しちゃった。

「先生!?遠藤先生達はどちらに…?」

「あーなんか、近くの水族館に行くって。海なんか泳げないならつまらんからって。」

気にしてなさそうに行こ?って手を差し出す先生をじぃーっと見つめる。二人っきりになるなんて聞いてない!!

「明音、行くぞ?」

って私の手を取って海岸に歩き出したので、私の心拍数がドクドクと上がりだす。もう、どうしよう…。同様しているせいか砂浜に足を取られて転びそうになりかけた時フワッと温もりに包まれた。

「本当に明音は危なかっしいな。」

先生が間一髪で私を抱き締めてくれた。

「あ、ごめんなさい…」
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