懐恋。
ドキンドキンドキン。先生と居るだけで私の心臓は色んな音を立てる。

「カメラ越しだと見れないと思います…」

多分私の顔は真っ赤に染まってる。

「気取り直して写真撮るか。」

先生の一言でお互いカメラを構えて綺麗な海を切り取っていく。太陽、空、海、砂浜、今日見た景色は二度と見れないから。

「明音ー、楽しいな。」

「はい、楽しいです。」

「綺麗ですね。」

「おう、綺麗だな。」

時々お話をしながら波の音も聞こえてこの空間が気持ちいい。

キリがついたところでカメラから顔を離して先生の方を見ると、気持ちよさそうな顔で寝てる。んふふ、先生可愛いな。今がチャンスだと思って先生の寝顔もしっかりカメラに収めた。

「ん…腹減った。」

しばらくしてから目覚めた先生は眠そうに目をこすってお腹が空いたと喚いていて子供みたいだな。

「明音ちょっと歩ける?徒歩15分程にカフェがあんだけど。」

「歩けますよ、行きましょうか。」

立ち上がったら差し出された手に今度は戸惑うことなく先生の手に私の手を絡ませて、カフェへと向かった。先生と外で食べることも一緒に食べることも初めてで、その時食べたタコライスは私の中で好きな食べ物ベストワンとなった。
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