課長の胃袋をつかみました
そして迎えるランチタイム。
私のデスクの上には行き場をなくしたお弁当が1つのっている。
仲の良い同僚はみんなお弁当やらを持参したりそれぞれ外に食べに行ってしまったりで食べてもらえそうにはない。
何より課長サイズの大盛りをダイエットの話で忙しい乙女たちにはおいそれと差し出せない。

仕方ない、もったいないけど持ち帰っては腐ってしまうし、異臭がしたら嫌なので給湯室で処分することにしよう。

給湯室に行き、ビニール袋に中身を捨てようとしたそのとき

「ちょっと待って!」

驚いて振り向くと声の主は塚田先輩だった。

「それ捨てちゃうの!?捨てるなら俺にちょうだいよ。昼食べてないんだ。」

先輩は顔の前で両手を合わせて笑っている。

課長のために作ってきたお弁当を先輩にあげるのはなんだから心が痛いけど…

「……いいですよ。捨てるのはもったいないですから。」

課長への当てつけのつもりで先輩にお弁当を渡し、せっかくなのでこの前の公園で2人で食べることにした。

「んまっ!まじでうまいよ!こんなん捨てるとかもったいなすぎる。なんで捨てようとしてたの?誰かのために作ったんでしょう?」
「………いいんです、もう。本気にした私がわるかったんです。何も言わないで行くなんて…私のことまったく考えてない。」

自分で言ってこれじゃ課長のことを指してるとばれてしまうと思ったが、先輩はいつ気づいていない様子だった。
助かった……




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