課長の胃袋をつかみました
さっきからなんとも好みが合う。
私はふと課長との夕食のときのことを思い出した。
あのとき私は結婚の条件の例に好き嫌いの相性なんてものを出したけど、早くもそれをクリアしつつある。
なんとなく私の気持ちもグラグラしてきていると思う。

考え事をして黙りこくっていると課長が怪訝な顔をして覗き込んできた。

「急に黙って、どうした?映画、これでいいのか?」

私はハッとして、はい と答えた。

映画の内容は素晴らしかったと思う。
でもさっきのことを考えるといまいち集中できなかった。
今度もう一度見に来ようかな。

そのあとはビストロでランチ。
また私の好みの店で、再び頭が例の思考に支配された。

まだ趣味の相性もあるし…

「課長は休日とか何されてるんですか?」

ちなみに私はおうちが大好きなので、専らたまった家事をこなしたり読書したりDVD見たりとまったり過ごしている。
だから大学生のときに付き合っていたアウトドア好きの彼とは合わなくて半年で別れてしまった。

「うーん。仕事がないときは家にいるな。せっかくの休みに外に出たいと思わないし。本読んだりしてDVD見たり。」

しゅ、趣味も合うだと……
なんだか期待はずれでがっかり。
でもその裏にちょっと喜んでる私がいたりして戸惑っている。

私、もう既に課長に惹かれはじめてるんだ…

でもこんなにかっこいい課長に告白されて、意識しないでいられる女性なんて果たしているんだろうか。

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