姫、私は誓います。
死刑という大っぴらな事柄に目を奪われて、身近な死を見落としていたんだから。自分でもウィルの保護者失格だと思う。
俺はどこまで愚かに生きれば気が済むのだろう。何度も何度も新しい人生をやり直して、やっと愛する人を見付けたのにその人一人も守れない。悲しませてしまっている。情けない。本当に自分が情けない。そう思って最後の瓦礫を退かした。

「これは・・・」

ジンルークさんに、ウィルと一緒に少し隠れていてほしいと手振りで依頼した。もちろん、ジンルークさんは現状を理解し出口から少し離れた洞窟の中でウィルを抱き締めてくれていた。

「こちらに現国王であるリズ様はいらっしゃいますか!匿っていた指名手配犯を連れて参りました!」

ラークペイさんは洞窟の外で待ち構えていた数千の兵士たちに嘘を並べ、信じ込ませようとして叫んだ。
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