姫、私は誓います。
幸せなら。本人が幸せなら騙されている偽善の愛も悪くないのかだなんて思う。いなくならないのなら、消えてしまわないのなら騙され続けている方が幸せなのかな。

「どうだろうな」

辛い事を聞いてしまっているのだろうか。ジンルークさんの形が歪んで見えた。こんな湿った話をしてほしくは無いと思う。でも、幸せだったんだと思うって言って欲しかったんだ。そうすればこの不安な気持ちがほんの少し晴れる気がしたから。

「少なくとも、皆傷付いただろうな。真実を叩き付けられた時期は絶望しか無かっただろうな」

ランバートと一緒なんだね、ジンルークさんも。気を利かせて幸せだっただなんて嘘を吐いてはくれないんだ。求めている答えに気付いているくせに励ましてくれないんだ。絶望なんて言葉、今は聞きたくなかったよ。今はどんな言葉もランバートに関連付けて考えてしまう。
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