姫、私は誓います。
嘘でも良いから優しい言葉が聞きたい。少しで良いから初めて感じたこの恐怖を取り除いてほしい。一時的で構わないから私を愛して抱き締めてほしい。そう思ってもジンルークさんはそんな中途半端な事をするような人ではない。分かっているよ。でも怖いんだ。殺されるかもしれない。それを分かっていながら帰りを待っているのがとても怖いんだよ。

「あいつらが幸せかなんて俺は知らない。でも、ランバートはお前に会えて幸せだったと思う」

聞きたくない。でも、とても優しい言葉だね。絶望や悲しみ、嬉しさが入り交じったこんなに複雑な涙は初めてだよ。こんな気持ちで涙を流したのは初めてだった。もう気持ち、抑えられないよ。

「お疲れ」

ジンルークさんは私を抱き寄せて頭を撫でた。懐かしい。ランバートも、私が泣くとそうやって頭を撫でてくれた。
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