姫、私は誓います。
ある程度大人になったとしても、頭を撫でられて嬉しくなるのは子供と変わらないんだなって実感する。でも、彼が私を苦しませたいのか励ましたいのか分からない。悲しませておいてこれはずるいよ。ドキドキするじゃない。甘えたくなるじゃない。これを無意識のうちにやっているのだとしたら、それは彼の一番の罪になると私は思う。

「どうして・・・?」

「俺も分からない。でも、これが好きだっていう事なら納得できる」

手の力は優しいままなのに、彼の体は熱くなって鼓動は速くなっていた。自分で言っておきながら、恥ずかしくなっているんだろう。可愛く思えて少しだけ笑った。
何を考えているのかよく分からないけれど、どんな感情なのか隠しきれていない。それなのに何も言わずに周りを見ては周りの色に身を隠そうとして失敗している不思議な人。ランバートと似ている所もあるのに、全然似ていない変な人。
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