姫、私は誓います。
私の気持ちを分かってくれる人なんて誰もいなかった。女の体であるのに女を好きにしかなれなくて、男に好意を持てなくて。薄気味悪がられてさ迷っていた私に声を掛けてくれたのが彼女だった。彼女は私を心配していつも手を差し伸べてくれていた。親に見放された時、仲間の兵士に嫌がらせを受けていた時、彼女はずっと私を気に掛けてくれていた。

「そのままで良いんじゃないかな。それがケイちゃんなんだから」

私が同性愛者である事を伝えた時も姫はそう言ってそばを離れようとしなかった。気味悪がったり、馬鹿にしたりしなかった。そんな人に私は初めて会えた。可笑しいと言われ続けていた私をやっと認めてくれる人に会えた。受け入れてくれる人に会えた。そう思うと涙が止まらなくて子供のように声を上げて姫の胸を借りて泣いた。
あの時、私は本当に救われたんだ。彼女に認めてもらえるだけでこんなにも世界が変わるとは思っていなかった。でも、変わったんだ。
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