【完】好きなんだけど、責任とってよ
「もう、終わりにしよう」
「え?」
私の一言に和馬は驚いたけど奈津は一切表情を変えない。
こういうところが好きなの。
「幼馴染みという関係も高嶺の花なんて呼ばれるこの環境もうんざりなの。」
「莉子…」
「さよなら、和馬…大人になろう」
全部を手に入れるなんて欲張りなことをしちゃいけない。
私は小さい頃から家族が欲しかった。
それは叶わないけどせめて大切な存在が欲しくて幼馴染みだった和馬と舞は私にとって本当に家族みたいな存在だった。
でも、ふたりが付き合うのを知ってやっぱりっ言うのと孤独感だけが私を支配していてそんな時だった。
奈津を見つけたのは。
この人だけは誰にも譲りたくないって思ってしまった。
あの時、あの瞬間、ほんの一瞬だったけどどうしても一緒にいたいと思った。